英語がなかなか身につかないと、「自分は意志が弱いから」「才能がないから」と考えてしまいがちです。でも、日本で英語を勉強しているなら、そう決めつける前に一度、周りの環境に目を向けてみてください。英語から自然と足が遠のいてしまう、目に見えない「摩擦」があちこちにあるからです。
何もしなければ、日本語に囲まれる
日本で暮らしていると、日本語は向こうから勝手にやってきます。テレビもネットのニュースも、職場や友人との会話も、ほとんどが日本語です。調べものをするときも、つい日本語で検索してしまえば、出てくるのは当然日本語の情報ばかりです。
スマートフォンも同じです。YouTube で日本語の動画を一本見れば、おすすめ欄はすぐに日本語の動画で埋まります。英語に触れたければ、自分からわざわざ探しにいかなければなりません。
「聴き放題」なのに、英語は別料金
Audible(オーディブル)を例に考えてみましょう。月額の聴き放題プランに入っていても、英語のオーディオブックの多くは対象外です。聴きたい作品があれば、サブスクとは別に一冊ずつ購入しなければなりません。
日本語の本なら追加料金なしで次々に聴けるのに、英語の本を選んだとたんにお金がかかる。これでは、どうしても日本語の作品に手が伸びてしまいます。
洋書は「探しにくく、高い」
書店に行っても、状況はあまり変わりません。洋書コーナーは店の奥の小さな棚だけ、ということも珍しくありませんし、大型書店でなければそもそも置いていない店も多いでしょう。
値段も割高です。薄いペーパーバックが、日本の単行本と同じくらいか、それより高いこともあります。英語の本を一冊手に入れるだけで、余計な手間とお金がかかるわけです。
小さな手間が「見えない税金」になる
一つひとつは、ちょっとした手間や出費にすぎません。でも、この「見えない税金」が毎日積み重なると、英語に触れること自体がだんだん面倒になっていきます。
人はもともと、面倒なことを毎日続けるのが得意ではありません。英語の勉強が続かないのは、性格の問題というより、英語にたどり着くまでのハードルが高すぎるからかもしれません。
ですから、今週あまり英語に触れられなかったとしても、自分を責める必要はありません。才能や性格のせいではなく、英語に触れるための「入場料」が高い環境にいる、というだけのことです。
意志に頼らず、環境を整える
まずは、この摩擦に気づくこと。それが本当のスタートです。そのうえで、日本語の「引力」を少しずつ弱める工夫をしてみましょう。たとえば、こんな方法があります。
- スマホの表示言語を英語にする:毎日何十回も見る画面が、そのまま英語の教材になります。
- 調べものは英語で検索する:英語で検索すれば、英語の情報が出てきます。まずは身近な調べものから英語に切り替えてみましょう。
- 紙の洋書にこだわらない:Kindle の洋書なら、輸入された紙の本より安く、すぐに読み始められることが多いです。
- 図書館を使う:英語の多読用の本(レベル別の読み物)をそろえている公立図書館もあります。
- 無料の音声を活用する:英語のポッドキャストや YouTube なら、お金をかけずに毎日英語を聴けます。
一度に全部変える必要はありません。部屋の一角でも、スマホの中だけでもいいので、何もしなくても英語が目に入る場所を一つ作ってみてください。
英語が身につくかどうかは、能力だけで決まるものではありません。どんな環境を自分で用意するか、その工夫しだいでもあるのです。
無理なく続けられる暮らしをつくるための、エッセイと音声と絵。東京にて。